最期のハイエンドモデル ABU-MATIC 1075
自分が最初に手に入れたアブマティックがダイレクトドライブの『ABU-MATIC 145』であることは既に書きましたが、マイ・ファースト・アブは違いました。
アンダーロッドの『1044 SYNCRO MATCH』が、自分が最初に手に入したアブガルシア社製品です。
このリールの元となったオンロッドのアブマティックが存在することを、後に知ることとなります。
『ABU-MATIC 1075』
埼玉の志木市にかつてあった釣具屋で、埃をかぶっていた売れ残りを見つけて手に入れたもの。(ちなみに、1044 SYNCRO MATCHもこの店でサルベージしたものです)
日本国内で正規に販売されたリールだったはずですが、何故か当時のカタログには掲載されていませんでした。(折しもエビスフィッシング社からオリムピック社へとAbuGarcia社の代理店権利が委譲された時期と重なっています)
このリールの初期型とされるプラスチックバンパー付きのモデルのリールフットには、【85-0】の数字があるため、1985年に企画・製造されたものと思われます。(発売はもうちょっと後だったらしい)
他にも【88/90 85-0】や【89/90 85-0】、【9-0 91/92】というナンバーがリールフットに刻印されたものが存在しており、このモデルが複数に渡って生産されたことが分かります。
手元にある2台は、いずれも【85-0】ナンバーが刻印されていますが、各部の仕様は異なっています。
このリールの謎な部分の一つに、ラインオリフィスの素材違いがあります。
ノーマルは、ステンレス製リングのラインオリフィスのはずですが、結構な数の同型リールに、複合セラミックス製と思しき黒っぽいガイドリングへ換装されているものが存在します。
ステンレス製のガイドリングに特に問題があったとは思えませんが、後付けで改造されたのかは不明です。
日本国内だけでなく、海外で流通している物にも存在しているので、もしかすると二つのラインオリフィス仕様が存在していたのかも知れません。
1075にはシングルの複合セラミックス製と思しきピックアップピンが装備されていますが、ワインディングカップは、一穴のものと、四穴のものが存在しています。
これは製造ロットによるものと思われますが、そもそも四穴のワインディングカップも、ピックアップピンを取り付けられるのは反対側の穴だけで、側面に空けられた二穴はどうやっても使えません。
余談ですが、アンダーロッドのABU505系には、シングルのピックアップピンが装備されていました。
1044 SYNCRO MATCHの後期モデルは、ダブル・ピックアップピン化されましたが、ラインリリース時に片側のピックアップピンが下がりきらず、キャスティングに支障をきたすことがあり、自分は片側のピックアップピンを取り外して使用していました。(1044のスペアで後期モデルも後日入手したので)
このタイプのクラッチ機構では、ダブル・ピックアップピンを完全に解除することが出来ないのです。
アブマティックの場合、クラッチレバーを押し下げれば必然的にセンターシャフトがワインディングカップを前進させてピックアップピンを解除するので、ダブル・ピックアップピンであっても問題ないのですが、アンダーロッドタイプのクラッチ機構はアブマティックとは逆の設計で、ラインリリースボタンを押し込むことで、ボタンリリースシャフトを収縮させてクッションプレートを押し上げていくために、必然的に力の掛かり具合が均一とならず、ピックアップピンの片側のみを解除することが多いのです。
これが分かっていたからこそ、初期のABU505系はシングル・ピックアップピン仕様だったのでしょう。
短命モデルであったABU507MK-2は、強制的に二つのピックアップピンを連動させる設計が施されていたため、ピンが片側しか下りないトラブルはありませんでしたが、ハンドルの抵抗が少なすぎてキャスティング時にハンドルが勝手に回転してピンが立ち上がってしまうという致命的な欠陥がありました。
アンダーロッドタイプを新たにダブルピックアップピン化するのであれば、ABU507MK-2のピックアップピン機構を採用するのが望ましいと思います。
1075は、当時主流になりつつあったストレートハンドルや、FUJIグリップへのマッチングを念頭に置いて、クラッチレバーがローダウン化されています。
オフセットの深い同社の古いスピードグリップに組み合わせて使うことも出来ましたが、クラッチレバーの位置がかなり下がってしまうために、少々使い辛かったです。
そのため、このリールに関しては、上記の画像の通り、FUJIタイプのグリップか、ストレートグリップを組み合わせた方がよりマッチします。
色味が地味であったこともあり、1075はマイナーな存在でしたが、最期のアブマティックのハイエンドモデルであることは間違いありません。
基本コンポーネントは、往年の名機『170』を踏襲し、シンクロドラグは勿論のこと、スタードラグホイールや、オシュレーション機構を搭載、シングルピックアップピンながら滑りの良い複合セラミックス製と思しき太軸のピックアップピンを採用。
太めのナイロンラインの使用を前提とした、ヘビー・デューティーなリールに仕上がっています。
オートシンクロドラグ機構が採用されなかったのは、やはり「使い辛い」というユーザーからの意見が多かったためでしょうか?
フリッピングロッドと組み合わせれば、ピッチングやフリッピングもこなすことが出来ますが、350g近いその重量は、もはや時代にそぐわないものであったことも事実です。
当時の一般的なベイトキャスティングリールの重量は250gを切る勢いでしたし、樹脂製筐体のものは200gを切り始めていました。
リトリーブスピードの遅さもネックで、ベイトキャスティングリールやスピニングリールほど使い勝手は良くありません。
このリールの重量が軽ければ、少しは評価されていたかもしれませんが、100番台のアブマティックが淘汰されていった理由と同様、その価格と仕様が時代にマッチしなくなったのでしょう。
再びハイエンドのアブマティックが現れる可能性はあるのでしょうか?
1075は、スピンキャスティングリールの未来像について色々と考えさせられるリールです。
アンダーロッドの『1044 SYNCRO MATCH』が、自分が最初に手に入したアブガルシア社製品です。
このリールの元となったオンロッドのアブマティックが存在することを、後に知ることとなります。
↑プラスチック製のバンパー付きの1075初期モデル |
埼玉の志木市にかつてあった釣具屋で、埃をかぶっていた売れ残りを見つけて手に入れたもの。(ちなみに、1044 SYNCRO MATCHもこの店でサルベージしたものです)
日本国内で正規に販売されたリールだったはずですが、何故か当時のカタログには掲載されていませんでした。(折しもエビスフィッシング社からオリムピック社へとAbuGarcia社の代理店権利が委譲された時期と重なっています)
このリールの初期型とされるプラスチックバンパー付きのモデルのリールフットには、【85-0】の数字があるため、1985年に企画・製造されたものと思われます。(発売はもうちょっと後だったらしい)
他にも【88/90 85-0】や【89/90 85-0】、【9-0 91/92】というナンバーがリールフットに刻印されたものが存在しており、このモデルが複数に渡って生産されたことが分かります。
手元にある2台は、いずれも【85-0】ナンバーが刻印されていますが、各部の仕様は異なっています。
↑ステンレス製ラインオリフィス仕様の1075 |
ノーマルは、ステンレス製リングのラインオリフィスのはずですが、結構な数の同型リールに、複合セラミックス製と思しき黒っぽいガイドリングへ換装されているものが存在します。
ステンレス製のガイドリングに特に問題があったとは思えませんが、後付けで改造されたのかは不明です。
日本国内だけでなく、海外で流通している物にも存在しているので、もしかすると二つのラインオリフィス仕様が存在していたのかも知れません。
1075にはシングルの複合セラミックス製と思しきピックアップピンが装備されていますが、ワインディングカップは、一穴のものと、四穴のものが存在しています。
これは製造ロットによるものと思われますが、そもそも四穴のワインディングカップも、ピックアップピンを取り付けられるのは反対側の穴だけで、側面に空けられた二穴はどうやっても使えません。
余談ですが、アンダーロッドのABU505系には、シングルのピックアップピンが装備されていました。
1044 SYNCRO MATCHの後期モデルは、ダブル・ピックアップピン化されましたが、ラインリリース時に片側のピックアップピンが下がりきらず、キャスティングに支障をきたすことがあり、自分は片側のピックアップピンを取り外して使用していました。(1044のスペアで後期モデルも後日入手したので)
このタイプのクラッチ機構では、ダブル・ピックアップピンを完全に解除することが出来ないのです。
アブマティックの場合、クラッチレバーを押し下げれば必然的にセンターシャフトがワインディングカップを前進させてピックアップピンを解除するので、ダブル・ピックアップピンであっても問題ないのですが、アンダーロッドタイプのクラッチ機構はアブマティックとは逆の設計で、ラインリリースボタンを押し込むことで、ボタンリリースシャフトを収縮させてクッションプレートを押し上げていくために、必然的に力の掛かり具合が均一とならず、ピックアップピンの片側のみを解除することが多いのです。
これが分かっていたからこそ、初期のABU505系はシングル・ピックアップピン仕様だったのでしょう。
短命モデルであったABU507MK-2は、強制的に二つのピックアップピンを連動させる設計が施されていたため、ピンが片側しか下りないトラブルはありませんでしたが、ハンドルの抵抗が少なすぎてキャスティング時にハンドルが勝手に回転してピンが立ち上がってしまうという致命的な欠陥がありました。
アンダーロッドタイプを新たにダブルピックアップピン化するのであれば、ABU507MK-2のピックアップピン機構を採用するのが望ましいと思います。
1075は、当時主流になりつつあったストレートハンドルや、FUJIグリップへのマッチングを念頭に置いて、クラッチレバーがローダウン化されています。
オフセットの深い同社の古いスピードグリップに組み合わせて使うことも出来ましたが、クラッチレバーの位置がかなり下がってしまうために、少々使い辛かったです。
↑海外カタログに掲載された1075の画像です |
色味が地味であったこともあり、1075はマイナーな存在でしたが、最期のアブマティックのハイエンドモデルであることは間違いありません。
基本コンポーネントは、往年の名機『170』を踏襲し、シンクロドラグは勿論のこと、スタードラグホイールや、オシュレーション機構を搭載、シングルピックアップピンながら滑りの良い複合セラミックス製と思しき太軸のピックアップピンを採用。
太めのナイロンラインの使用を前提とした、ヘビー・デューティーなリールに仕上がっています。
オートシンクロドラグ機構が採用されなかったのは、やはり「使い辛い」というユーザーからの意見が多かったためでしょうか?
フリッピングロッドと組み合わせれば、ピッチングやフリッピングもこなすことが出来ますが、350g近いその重量は、もはや時代にそぐわないものであったことも事実です。
当時の一般的なベイトキャスティングリールの重量は250gを切る勢いでしたし、樹脂製筐体のものは200gを切り始めていました。
リトリーブスピードの遅さもネックで、ベイトキャスティングリールやスピニングリールほど使い勝手は良くありません。
このリールの重量が軽ければ、少しは評価されていたかもしれませんが、100番台のアブマティックが淘汰されていった理由と同様、その価格と仕様が時代にマッチしなくなったのでしょう。
再びハイエンドのアブマティックが現れる可能性はあるのでしょうか?
1075は、スピンキャスティングリールの未来像について色々と考えさせられるリールです。
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