ストライクグリップ

  オフセットグリップやガングリップのロッドをベイトキャスティングリールで使っていたのは1990年代末期頃迄だったと思う。

 元々スピニングリールとアンダーロッドスピンキャスティングリールのヘビーユーザーだったので、オンロッドのベイトキャスティングリールとスピンキャスティングリールをメインに使うようになったのは20代半ばを過ぎた頃からだ。
 当時は1980年代のダイワのジェットキャストやロイヤルキャストのデッドストック品を古びた釣具店で探し出し、子供の頃に憧れていたシマノのバンタムやダイワのファントム、リョービのキャスプロなどを組み合わせて使っていた。
 ジェットキャストやロイヤルキャストのハンドルグリップは、オフセットされていないガングリップが付いていたのだが、グラスのブランクスは扱いづらく、少し重いルアーを使うだけでキャスティングの際にバットの根本から曲がってしまうのでキャスティングコントロールがそのものが難儀だった。
 また、引き物の抵抗が強くてもパワー負けしてベリーから曲がってしまうし、ティップが柔らかすぎて動きをほぼ吸収してしまうためにルアーが思ったように動かないなど悪いことずくめで、徐々にストレートグリップのカーボンロッドの方をメインで使うようになっていく。(AbuGarcia社のホーネット等)

 古い安物だからダメなのかと、2000年頃、スミス社からスーパーストライクFO-60が復刻発売されたので購入したのだが、ジェットキャストよりもはるかに重く感じてすぐに手放してしまった。
 スポーツザウルスのキャスティングフォックスFC66も、想像以上にダル過ぎて失望。
 以来、ベイトキャスティングリール用のオフセットグリップのロッドは、自分には不必要なアイテムとなっていた。

 オフセットグリップを再び自分が使うようになったのは、フェンウィックのアイアンホーク・トップウォーター(IHT66C ML-2 J)をチャンピオンフェルール仕様にし、希少なABU社のZoomグリップと組み合わせて『ABU-MATIC 141』と組み合わせて使い始めたからだ。

 後にDream Brothersのイエローマジック(チャンピオンフェルール仕様)や、スプラッシュクラブのクレイジー60/60Light/602Ultra Light、ダイワ精工のHL-Z671MLFB-STのブランクを切ったチャンピオンフェルール仕様等をはめ込み、Zoomグリップを使い続けた。
 勿論、『ABU-MATIC 141』を組み合わせた。

 とはいえ、本気モードのバスタックルはストレートグリップのロッド(OFT社のHiroism A.I.R、ハートランドZ、メガバス デストロイヤー、G-loomis等)にベイトキャスティングリールを組み合わせていたので、オフセットグリップとチャンピオンフェルール仕様のロッドはスピンキャスティングリール専用だった。

 スピンキャスティングリールはABU-MATICこそ最高のリールだとずっと信じてきたが、スピンキャスティングリールを探求し続けていくうちに、米国製のオリジナルのスピンキャスティングリールにすっかり魅了され始める。

 特にジョンソン社のスピンキャスティングリールには、他社にはない圧倒的な性能面の優秀さと品質の高さ、更に設計上の独自性があった。
 1960年に登場した『130 SABRA』と1961年に登場した『710』は、その最たるものだろう。
 結果的に、それらの進化最強バージョンとなった1979年モデルの『131 SABRA』と『710C』が、自身の求める究極のスピンキャスティングリールとなった。

 ゼブコ社のリールが嫌いなわけではないが、1957年モデルの『33』と、アンダーロッドトリガースピンの『44』、ウォームギアの33XBLくらいしか性能の良いリールがない。
 シェイクスピア社のPUSH BUTTON WONDERCASTは確かに高性能だが、ジョンソン社のスピンキャスティングリールの方がより洗練されている。

 数年がかりで状態良い『131 SABRA』を手に入れ、満を持してABUのZoomグリップにはめ込もうとした際に、予想もしていなかった問題が起きてしまった。

↑ベルカバーが干渉してリールフットが嵌らない

 ベルカバーがオフセットグリップのオフセット部に干渉して、リールフットが嵌らないのだ。
 現行のストレートグリップのロッドと組み合わせれば何処にも干渉することはないが、リールの位置がかなり高くなり、バッドガイドに急角度でラインが絞り込まれるのが宜しくない。
 当然ながら、バランスが悪くホールド感も皆無。
 ジョンソン社が1979年当時に組み合わせを推薦していた、FUJIグリップタイプのガングリップは一切所有していなかったし、そもそもガングリップが手に合わなかったため、ストレートのグリップ以外は使えない。
 オフセットが浅めのスミス社のストライクグリップならば、ベルカバーが干渉することもなく組み合わせることが出来るのではないか?
 そんな期待を胸に、セミダブル仕様のストライクグリップを入手し、『131 SABRA』を組わせてみた。

↑ベルカバーは干渉せず、しっかり取り付けが可能

 素晴らしいマッチングだ。
 これで心置きなく、ジョンソン社の『131 SABRA』を使うことが出来る。
 そして、ストライクグリップはマグネシウム合金製で、非常に軽い。
 ABUのZoomロッドが物凄く重かったので、軽量化された感は絶大だった。

 ここまでくると、もはやベイトキャスティングリールを使う理由がなくなってしまう。
 というのも『131 SABRA』は日本では知られていない、バスフィッシング用に開発された専用の大型スピンキャスティングリールだからだ。(『バスフィッシャーマンのお気に入り』と当時のカタログにも明記されている)
 大口径ワインディングカップ(ローター)による高速巻取りが可能な上、正回転ではフルパワーのダイレクトドライブ、ハンドルから手を放すかハンドルを逆回転させると任意に設定したドラグ機構が作動する、オートマティック・トランスミッション機構を有している。
 ディープクランクやヘビースピナーベイトも問題なく使うことが出来るスピンキャスティングリールなんて、このリールくらいだ。
 勿論、他のスピンキャスティングリールに組わせてもいい。
 ストライクグリップは、スピンキャスティングリールのユーザーにこそお勧めだ。

コメント

人気の投稿